日本固有の希少渡り鳥 アカモズの保全
アカモズ(Lanius cristatus superciliosus)は絶滅が心配される、日本のみで繁殖する夏鳥です。私たちの系統地理学的研究から、日本のアカモズは大陸産集団と長期間独立した歴史を歩んだことが分かっています。かつては身近な鳥でしたが、過去30年間で全国的に激減しました。昨年発表された、同期の北沢さんらの研究からは、数少ない繁殖地に200つがいもいないことが発表されました。
日本にしかいない貴重なアカモズの保全には、個体の数と分布を正確に把握し、繁殖成功に必要な環境条件を調べることが重要です。つまり、個体数と繁殖生態のモニタリングが必要です。
繁殖地の主要な地域は本州の農業地帯です。現在私や同研究室のメンバー、そして長年アカモズの保全に尽力してきた信州大学OBメンバーが協力して、農業地帯でのアカモズ生態モニタリングを実施しています。
現在私たちで実施しているプロジェクトは
-
餌を十分に確保できる農地環境は何だろうか?
-
雛を襲う天敵は一体だれか?
-
繁殖成功を決める要因は何か?
-
アカモズを農業関係者や地域の方々と一緒に理解し、保全しよう!
アカモズの保全に関しては以下の記事でまとめています。
日本に残りわずかなアカモズの雌(青木撮影)
日本のアカモズ(左)と大陸のアカモズ2亜種(右)。美しい赤茶色と白い顔のコントラストが特徴です!(青木画)
農業関係者や地域の方々と一緒に理解し、保全しよう!
実施中のプロジェクトの1つを紹介します!
私たちは農地環境に毎年お邪魔して調査をさせていただき、農業関係者や地域の方々と良好な関係を築きながら調査に励んでいます。その中で農家や地域の方々からこういう風に言ってもらえるようになりました。
「私たちもアカモズ保全になにか協力できないかな?」
こういう風に言ってもらえたのも、信州大グループOBの方々が長年調査を実施されてきたおかげです。その努力が報われ、研究者だけでなく農地を管理されている方々から、保全活動の重要性を理解いただいております。
そこで私たちは、NPO団体のバードリサーチさんの開催されている「2021年度調査研究支援プロジェクト」の支援プロジェクトに申請し、採択していただきました!このプロジェクトでは農家の方々の作業中に発見された鳥の巣に関する情報を集約して、市民科学としてアカモズの繁殖をモニタリングすることを目的としたものです。
支援プロジェクト内容は右の写真を参考にどうぞ!
また支援は2021年2月末までとなってます。ご支援いただける方はリンクからお願いいたします…!
*追記(2023年9月29日):ご支援大変ありがとうございました!皆様のサポートのおかげでアカモズの保全が大きく前進しました!現在は人間環境大学が中心となった発展的な保全プロジェクトにつながっています。
現在は、アカモズの捕食者対策プロジェクトや域外保全プロジェクトが進行中です。
青木と同グループの赤松さんが農家の方に保全活動を紹介中。
※捕獲は環境省・山階鳥類研究所から特別な許可を得て、特別な技術を習得したうえで、調査を行っています。
バードリサーチプロジェクト内容です。クリックして拡大!